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中林 正和*; 大山 英典*; Hanano, N.*; 平尾 敏雄; Simoen, E.*; Claeys, C.*
Proceedings of the 6th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-6), p.183 - 186, 2004/10
IGBTの電気特性の放射線劣化について、2MeV電子線の高温で照射を行い、評価した。電子線照射の実験は高崎研究所の電子加速器を使用し、フラックスは10e/cmで固定し、照射中の温度を室温, 100, 200, 300Cと変化させた。電気測定の結果、しきい電圧は照射温度100Cで部分的に回復し、飽和電圧の増加が100Cで最も顕著であることがわかった。また、この温度範囲では、放射線で誘起した界面準位による電圧シフトと固定電荷による電圧シフトの挙動が異なることが判明した。本ワークショップではこれらの違いについて解析し議論を行う。
Chakoumakos, B. C.*; Rawn, C. J.*; Rondinone, A. J.*; Marshall, S. L.*; Stern, L. A.*; Circone, S.*; Kirby, S. H.*; Jones, C. Y.*; Toby, B. H.*; 石井 慶信
Proceedings of 4th International Conference on Gas Hydrates (ICGH-4), p.655 - 658, 2002/05
メチレン・エチレン混合ガスから作った水化物の中性子回折実験を広い温度領域で行い、回折パターンを観測した。測定は主にJRR-3Mに設置してある高分解能中性子粉末回折装置(HRPD)を使用して行い、補助的に米国NISTのHRPDも用いた。観測データをリートベルト法に従って解析し、ガス水化物結晶パラメーターの精密化を行った。この結果、構成原子の配置位置及び熱振動パラメーターを精度良く決定できた。混合ガス組成を持つ水化物の基本的物理量を決定したことは非常に有意義であることから、横浜で開催の第4回ガス水化物国際会議で発表する。
Rawn, C. J.*; Rondinone, A. J.*; Chakoumakos, B. C.*; Marshall, S. L.*; Stern, L. A.*; Circone, S.*; Kirby, S. H.*; Jones, C. Y.*; Toby, B. H.*; 石井 慶信
Proceedings of 4th International Conference on Gas Hydrates (ICGH-4), p.595 - 598, 2002/05
多原子で構成しているガス水化物の結晶構造及び熱振動振幅等の多岐にわたるパラメータを一度に決定することは、現段階で、非常に困難である。そこで、まずガス分子を剛体とみなして、これまで主にJRR-3Mの高分解能粉末回折装置(HRPD)及びNISTのHRPDを用いて観測した水化物回折パターンをリートベルト法により解析した。その結果、非常に精度良く観測パターンを説明できた。さらに剛体ガス分子の熱振動振幅パラメータの温度依存性を明らかにした。上述の如く、ガス分子を剛体とみなす一次近似ではあるが、これまでの解析手法を一歩進めたことで意義がある。さらにこの熱振動パラメータはガス水化物の分解と密接に関係することから、得られた知見,解析法について国際会議で発表する。
Rondinone, A. J.*; Chakoumakos, B. C.*; Rawn, C. J.*; 石井 慶信
Proceedings of 4th International Conference on Gas Hydrates (ICGH-4), p.625 - 629, 2002/05
重水化したトリメチレン酸化物(TMO)水化物の中性子回折実験をJRR-3Mに設置してある高分解能中性子粉末回折装置により回折パターンを広い温度範囲に渡って観察した。観察したパターンをリートベルト解析して、I型結晶構造及びII型結晶構造の結晶パラメータを決定した。その結果、両者の格子定数の温度変化が100K以上の温度範囲では直線的であることを見いだした。さらに両タイプの水化物の酸素座標位置から、大きな篭の体積と小さな篭の温度変化を導き出した。その結果I型では、160から220Kの温度変化で体積が減少することを明らかにした。また原子の振動振幅の温度依存性を求めた結果、振動振幅は190Kで最大となり、それ以上の温度範囲では温度の増加につれて減少した。これは、温度の上昇に伴ってゲスト分子の回転自由度が生じ、回転したためであろうと結論した。水素(重水素)原子等軽原子からの散乱を観測できる唯一の測定法である中性子回折を行い、上述の新たな知見を得たので発表する。
中田 弘太郎*; 長崎 晋也*; 田中 知*; 坂本 義昭; 田中 忠夫; 小川 弘道
JAERI-Conf 2002-004, p.667 - 673, 2002/03
放射性廃棄物処分の安全評価では、地層中の鉱物への長半減期核種の吸着移行挙動の評価が重要である。本研究では、地層中での核種の挙動に重要な役割を果たす鉄鉱物へのネプツニウムの吸着現象を温度依存性の観点から調べた。その結果、ネプツニウムのマグネタイト(磁鉄鉱)への吸着は温度とともに増加することが明らかになった。さらに、吸着試験終了後のマグネタイトを塩化カリウム溶液(イオン交換性)及びシュウ酸カリウム溶液(非晶質鉄酸化物への吸着)による逐次抽出し、その脱離量を比較すると、塩化カリウムで抽出されるネプツニウム量とシュウ酸カリウムで抽出されるネプツニウムの量は比例しており、ネプツニウムがマグネタイト上の複数の吸着サイトへの吸着により吸着していることが推定された。
金 善永
JNC TN8400 2001-008, 36 Pages, 2001/03
高レベル放射性廃棄物を地層処分する際に、多くの国では緩衝材としてベントナイトが候補材料として考えられている。特に近年は、地層処分にセメント系材料の使用が考えられている。セメント系材料からの浸出液はpHが高く、Ca、Na、Kなどの濃度が高いために、緩衝材や周辺岩盤を変質させると考えられる。この反応は、処分場が地下深い所に位置する場合、地熱や放射性廃棄物からの熱、圧力、地下水などの反応によって、さらに激しい変質を受けると考えられる。このような場合、緩衝材としての膨潤性、地下水の侵入防止、核種元素の移行遅延などの性能は、低下することが懸念される。今回は、高pH溶液に対する緩衝材構成鉱物間の影響を調べるために、緩衝材の主な構成鉱物であるモンモリロナイト、長石(曹長石)、石英を選定し、これらを一定比率に混合させて、蒸留水やpH1113溶液との反応を調べた。試験温度は50150であり、反応期間は10200日であった。試験結果、主な2次生成鉱物は方沸石(analcime)であり、温度やpHが高く、反応期間が長いほど、その生成量は多く、粒径も大きくなる傾向を示した。この方沸石の生成量は、X線粉末回折分析手法により定量化を試みた。方沸石の定量化の結果、その生成量は次の順序を示した。モンモリロナイトと長石混合試験モンモリロナイト試験モンモリロナイトと石英混合試験この他に、走査型電子顕微鏡観察を行った結果、X線粉末回折分析データからは検出できなかった方沸石の結晶が観察された。また、定量化のデータを利用して、各試験においての方沸石の活性化エネルギー(kJ/mol)を求めてみた。・モンモリロナイト試験での方沸石の活性化エネルギー:54.9kJ/mol・モンモリロナイトと長石混合試験での方沸石の活性化エネルギー:51.9kJ/mol・モンモリロナイトと石英混合試験での方沸石の活性化エネルギー:59.6kJ/mol以上の結果より、ベントナイトに珪砂を混合させることや、周辺岩盤や緩衝材中の長石の存在などによる高pH溶液の変質影響を推定できる。
佐野 雄一; 新井 健太郎*; 桜井 孝二*; 柴田 淳広; 野村 和則; 青嶋 厚*
JNC TN8400 2000-032, 98 Pages, 2000/12
再処理プロセスへの晶析工程の導入時に必要となる高濃度U溶液の調製、さらにはその際の有効な手法の一つである粉体化燃料を対称とした溶解に関連し、U濃度が最大800g/Lまでの領域におけるUO2粉末の溶解挙動を明らかとすることを目的として、溶解挙動に及ぼす最終U濃度、溶解温度、初期硝酸濃度、粉末粒径及び燃料形態の影響について評価を行った。また、得られた結果をもとに高濃度溶解時における照射済MOX燃料の溶解挙動について評価を行い、晶析工程への高HM濃度溶液供給の可能性について検討を行った。試験の結果、最終U濃度、粉末粒径の増大及び溶解温度、初期硝酸濃度の減少に伴う溶解性の低下が認められた。さらに、UO粉末及びUOペレットの高濃度溶解時においても、最終U濃度が溶解度に対して十分低い(U濃度/溶解度 約0.8)溶解条件下では、fragmentationモデルに基づいた既報の評価式によりその溶解挙動の予測が可能であることを確認した。晶析工程への高HM濃度溶液(500g/L)供給の可能性については、従来の燃料剪断片を用いた溶解では、高HM濃度の溶液を得ることが困難(溶解時間が大幅に増加する)であるが、燃料を粉体化することにより速やかに高HM濃度溶液を得ることができるとの見通しを得た。粉体化した燃料の溶解時に懸念される溶解初期のオフガスの急激な発生は溶解条件を考慮することによりある程度回避できるものと考えられ、今後オスガス処理工程の最大処理能力を踏まえた上で溶解条件の最適化を進めることが重要となる。
亀井 玄人
JNC TN8400 2000-030, 17 Pages, 2000/12
海水起源堆積岩中地下水の代表例として、千葉県茂原ガス田の地下水を対象に、有機炭素(TOC)および有機酸(ギ酸、酢酸、乳酸、コハク酸、プロピオン酸 、吉草酸、酪酸、フミン酸およびフルボ酸)についても濃度を測定した。その結果、TOCが221240MG/Lの値を示し、有機酸はコハク酸とフルボ酸のみが検出され、それぞれ5.80.58.30.3MG/Lの濃度であった。地下水の温度やSO42-濃度を考慮すると、微生物の活動によってたとえばCHCOO + HO = HCO + CHのように示される反応が進行し、メタンとして滞留しているものと考える。
山中 伸介*; 阿部 和幸
JNC TY9400 2000-004, 78 Pages, 2000/03
高燃焼度時における高速炉用MOX燃料の挙動を把握するための基礎的研究を実施し、以下の結論を得た。プルトニウムをセリウムで代用した高速炉用模擬MOX燃料(U0.8,Ce0.2)O2にFPとして希土類元素及びジルコニウムを固溶させた模擬燃焼MOX燃料、(U0.8-yCe0.2My)O2x[M:NdorZr](0y0.13)の熱伝導度を評価し、添加元素濃度依存性、温度依存性を明らかにした。(U0.8-yCe0.2My)O2x[M:NdorZr](0y0.13)の熱伝導度を(U0.8,Ce0.2)O2の熱伝導度と添加元素濃度を用いた近似式で表現することができた。模擬燃焼MOX燃料、(U0.8-yCe0.2My)O2x[M:NdorZr](0y0.13)の機械的特性を試料中の音速とビッカース硬度から評価し、試料の弾性定数、ビッカース硬度及び降伏応力が添加元素濃度が増加するにつれて減少することを明らかにした。分子動力学法を用いて燃料の物性予測を、多相平衡計算プログラム"ChemSage"を用いて高燃焼度時における燃料中のFPの存在化学形態の予測を行なった。いずれの方法でも系のみを取り扱っただけであるが妥当な結果が得られた。
上平 明弘; 鵜飼 重治; 水田 俊治
JNC TN9400 2000-040, 41 Pages, 2000/03
高速増殖炉(以下FBRという。)の実用化戦略調査研究の一環である炭酸ガス冷却炉の燃料設計評価に資するために、フェライト鋼の炭酸ガス腐食に関連する文献を調査し、炭酸ガス腐食に影響を及ぼす因子を整理した。特にブレイクアウェイが発生するまでの腐食挙動について、温度依存性・Si量依存性・Cr量依存性について定量的な評価を行い、次のような腐食評価式を策定した。(式省略)
鶴留 浩二; 澁江 靖弘*; 時澤 孝之; 山本 正博*
JNC TY6400 2000-013, 102 Pages, 2000/02
本研究は、地熱地帯に適用されている緑泥石地質温度計について、その妥当性を実験的研究を通して検証することを目的としたものである。実験によって玄武岩と熱水との反応で生じる緑泥石化あるいは粘土鉱物化について検証するとともに、これらの化学組成と熱水の温度との関係を検証するための室内実験を平成9年度から平成10年度にかけて行った(尚、本研究は平成10年度で完了した)。熱水の温度を摂氏200度、摂氏250度、摂氏300度、摂氏350度、摂氏400度、さらに地層科学への応用の可能性も考慮にいれて摂氏100度、摂氏150度に設定して実験を行った。これらの実験で得られた結果は次のようにまとめられる。(1)固相粉末のX線回折分析では、いずれの実験においてもエチレングリコール処理後のピークの移動からスメクタイトが生成していることが確認できた。しかし、緑泥石あるいは緑泥石/スメクタイト混合層の生成は確認できなかった。(2)角柱の薄片の顕微鏡写真から見ると、熱水変質が進行したために、玄武岩の組織の乱れや微細な粘土化が確認された。(3)反応させた海水の組成と実験後の水溶液の組成を比較すると、陽イオンの重量比に変化が認められた。これまで玄武岩と海水との反応に関する低温から高温(摂氏500度)での実験では、緑泥石が生成しない。その代わり、緑泥石/スメクタイト混合層鉱物の生成の可能性が考えられた。しかし、今回の実験では当初目的としていた緑泥石あるいは緑泥石/スクメタイト混合層鉱物の生成は確認できなかったが、今後、さらに高温・高圧条件下での研究や検証が望まれる。
長崎 晋也*
JNC TJ8400 2000-004, 32 Pages, 2000/02
NpO2+のイライトへの吸着平衡ならびに吸着速度をpH=6において測定した。測定した吸着データはLangmuir型ではなく、Langmuir-Freundlich型の吸着等温線でフィッティングできることがわかった。フィッティングパラメータである不均質係数は0.89+-0.05であり、affinity spectraの半値幅(HWHM)はlog単位で0.19であった。このことは、本研究で使用したイライトの表面はNpO2+の吸着に対して比較的不均質性が弱いことを示している。またkinetic spectraから、NpO2+はイライトの外表面に吸着するが、層間には吸着しないことがわかった。kinetic spectraのHWHMは0.18logであった。HWHMがaffinity spectraと同程度であったことは、同じ吸着サイトの影響を受けている可能性を示唆するものである。平度であったことは、同じ吸着サイトの影響を受けている可能性を示唆するものである。平均の吸着速度の温度依存性から、吸着の見かけのエンタルピーとエントロピーはそれぞれ、37+-3kj/molと-69+-7j/mol・Kと評価された。このエンタルピーの値は、吸着プロセスがイライト表面の境膜における拡散律速であることを示している。また、Na型モンモリロナイトへのNpO2+とNp(V)炭酸錯体(主にNpO2CO3-)の吸着平衡と吸着速度についても、同様にaffinity spectraとkinetic spectraを適用して評価を行った。
水田 俊治; 鵜飼 重治; 上平 明弘
JNC TN9400 99-082, 60 Pages, 1999/10
FFTF/MOTAで照射された内圧封入型クリープ試験片について、照射材料試験室で被覆管部分の照射後密度測定を実施して、スエリングひずみとクリープひずみを精度良く分離することにより、照射クリープ係数を算出した。その結果、照射量依存項の係数(B0)とスエリング依存項の係数(D)は、PNC316鋼、15Cr-20Ni鋼及び14Cr-25Ni鋼で統一して表すことができ、照射中の熱クリープひずみ係数はそれぞれの鋼について各々策定した。得られた成果は以下のとおりである。(1)応力の効果によるスエリングは405605の温度範囲で認められ、応力レベルの高い方がスエリングは増加傾向にあることがわかった。(2)PNC316鋼と15Cr-20Ni鋼について算出した照射クリープ係数の値は、20%CW316S.S.,CW316Ti及びCW15-15Tiについて求められた海外報告値と同程度の範囲にあることがわかった。(3)FFTF/MOTA材料照射試験で求め礁射クリープ係数を用いて、燃料ピンのクリープひずみを適切に表すことができた。
神保 龍太郎*; 中村 和幸; Bandourko, V.*; 大楽 正幸; 奥村 義和; 秋場 真人
Journal of Nuclear Materials, 266-269, p.1103 - 1107, 1999/00
被引用回数:5 パーセンタイル:40.64(Materials Science, Multidisciplinary)次世代核融合実験炉におけるダイバータ表面の化学的スパッター状況をシミュレートする目的で、超低エネルギーイオン源(SLEIS)を用いた。200~700CにおけるBC-炭素繊維複合材料のスパッター率はSiC添加CFC材とほぼ等しく、2次元CFC材より明らかに小さいこと、化学的スパッター率は入射角度に依存しないことを明らかにした。
井上 賢紀; 浅賀 健男
JNC TN9400 98-005, 40 Pages, 1998/11
高速炉燃料の設計評価および照射挙動評価に資するため、高速炉用ウラン-プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)の熱伝導特性を前報(PNC TN9410 98-014:同題その1)に引き続き検討し、照射初期段階の評価に適用する熱伝導度式を再作成することを目的とした。熱伝導メカニズムを考慮すると、気孔を含む燃料の熱伝導度()は、気孔率ゼロの燃料の熱伝導度(0)と気孔効果の補正式(F)の積で表わされる(=F0)。今回の評価では、前報と同様に、気孔率ゼロの燃料に対する熱伝導度式を作成することにした。前報に対し、熱伝導度式の作成に利用するデータベースの選定基準を見直し、複数の測定方法および測定機関による測定値が同等のデータを採用した。気孔率の影響が比較的小さいと推定される高密度燃料(相対密度95%)の測定結果(221点)をデータベースとした。データベースの値を気孔効果の補正式(修正Loeb式:F=1-2.5P(Pは気孔率))を用いて気孔率ゼロの値に換算した後に、最小自乗法プログラムを用いてフィッティングし、下式を得た。なお、高温領域のデータ不足を補う手段として、UO2燃料とMOX燃料の物性が近いことに着目し、Hardingの報告したUO2燃料用熱伝導度式の電子伝導項をそのまま適用した。0=式省略0:気孔率ゼロの燃料の熱伝導度(W/mK)T:温度(K)O/M:O/M比(-)フィッティングに使用したデータベースはPu富化度2030%、O/M比1.98と2.00、相対密度94.396.4%、温度642279の範囲であるが、上式は高速炉用MOX燃料ペレットの一般的な製造仕様の範囲に対して常温から融点まで適用可能と考えられる。
not registered
PNC TJ1600 98-004, 50 Pages, 1998/03
原子炉施設、核燃料取扱施設においては、作業環境中の空間線量率や放射線業務従事者の被曝管理のために、中性子、線の線量測定が不可欠である。中性子検出器の一つである過熱液滴型検出器は高感度な中性子線量計としてこの分野の要求に応える有望な検出器である。作業環境はしばしば中性子・線(或いは陽子や電子など)混在場であることが多く、また厳しい温度条件下におかれる場合も少なくない。種々の環境で線量測定を行なうためには、広範な放射線に対する過熱液滴型検出器の放射線検出動作の一般的理解が重要である。本研究はこれまで実施してきた過熱液滴型検出器の放射線検出動作の解析や基本特性の取得をすすめると共に、その結果に基づき、この型の検出器の現場の放射線管理への適用性を明らかにすることを目的としている。このために今年度は以下の検討を行った。(1)過熱液滴型検出器の試作とその検討(2)過熱液滴型検出器の基本特性の把握1.中性子検出感度の温度・圧力および中性子エネルギー依存性2.線検出感度の計算(3)放射線管理への適用性の調査検討1.エネルギー弁別検出器の可能性2.線量評価法3.検出感度の温度依存性の補償
C.L.Wang*; 平出 哲也; Maurer, F. H. J.*; Eldrup, M.*; N.J.Pedersen*
Journal of Chemical Physics, 108(11), p.4654 - 4661, 1998/03
被引用回数:153 パーセンタイル:97.11(Chemistry, Physical)陽電子寿命測定法により2つのアモルファス高分子中の自由体積サイズの分布とオルソ-ポジトロニウム形成について研究を行った。ポリビニアアセテイト(PVAc)とポリメチルメタアクリレート(PMMA)を84Kからガラス転移温度以上まで測定し、84,149,224,249Kで200時間までの測定を行った。その結果、陽電子寿命測定から得られる自由体積分布は陽電子の照射時間に依存していないことがわかった。またオルソ-ポジトロニウム形成における温度及び陽電子照射の効果をスパーモデルにより議論した。
林 和範; 加納 茂機; 小峰 龍司; 舘 義昭; 平川 康; 吉田 英一
PNC TN9410 98-021, 68 Pages, 1998/02
セラミックス材料は、金属材料に比べ、高強度、高硬度、高温強度が大きいなど、構造材料として魅力的な性質を持っている。セラミックスを高速炉環境に適用することを考えた場合、ナトリウムとの共存性およびナトリウムによる機械的性質変化の評価が必要である。今回、焼結セラミックスである'Al2O3(従来材および高純度材)、SiC、SiAlONおよびAIN、並びに一方向凝固セラミックスであるAl2O3/YAG共晶材について、ナトリウム浸漬後の機械的性質変化を調べることを目的に、823K(550)または923K(650)のナトリウム中に3.6Ms(1000時間)浸漬した試験片の曲げ試験を実施した。823K(550)のナトリウム浸漬試験片において、Al2O3(従来材、高純度材共に)、AIN、Al2O3/YAG共晶材においては、曲げ強度変化は見られなかった。これに対し、SiCおよびSiAlONでは曲げ強度の低下が見られた。923K(650)のナトリウム浸漬試験において、AINおよびAl2O3/YAGでは曲げ強度に変化は見られなかった。これに対し、Al2O3(従来材、高純度材共に)およびSiCにおいて、試験試験片の表面観察から粒界腐食が見られ、曲げ強度の低下が見られた。またSiAlONにおいて、曲げ強度の上昇が見られた。今後は、特に、曲げ強度の変化が見られなかった材料につき、さらに長時間の浸漬試験を行う必要がある。また、曲げ強度が上昇したSiAlONについては、そのメカニズムを解明する必要がある。
大橋 弘士*; 佐藤 正和*; 小崎 完*
PNC TJ1600 98-001, 43 Pages, 1998/02
高レベル放射性廃棄物の地層処分のための基礎研究として、圧縮ベントナイト中のイオンの拡散に関する研究を行った。圧密し水で飽和したNa型モンモリロナイト試料の底面間隔をX線回析によって求めた。乾燥密度1.01.3Mgm-3の試料では層間に3水分子層のみが、乾燥密度1.6Mgm-3以上の試料では層間に2水分子層のみが認められたのに対し、乾燥密度1.4および1.5Mgm-3の試料では層間に2および3水分子層の両方が認められた。また、乾燥密度0.9Mgm-3以下の試料では、3水分子以下の層間は認められなかった。一方、試料の含水率から平均の層間距離を推定し、X線回析によって求めた値と比較した。その結果、低乾燥密度では層間に3水分子層以上の水を含んだ比較的大きな空間あるいは細孔が存在しうるのに対し、高乾燥密度ではほとんどの水が層間にあると考えられた。Na+、Sr2+、Cs+、Cl-イオンの見かけの拡散係数を決定した。細孔拡散モデルに従って、得られたCl-イオンの見かけの拡散係数からモンモリナイト試料の形状因子を、Na+、Sr2+、Cs+イオンの見かけの拡散係数から収着係数をそれぞれ求めた。各イオンの収着係数は異なった乾燥密度依存性を示し、この原因として間隙水中以外の拡散の寄与が考えられた。見かけの拡散係数の温度依存性より求めた拡散の活性化エネルギーは、各イオンとも高乾燥密度試料において低乾燥密度試料より大きな値を示すとともに、一部を除いて自由水中のイオンの拡散の活性化エネルギーと異なった値となった。また、それらの乾燥密度依存性は、乾燥密度1.4Mgm-3を境に差が認められた。このような活性化エネルギーの変化は、間隙水中のイオン濃度の変化、収着エネルギーの変化では説明できないものであり、乾燥密度の増加とともに拡散プロセスが変化していることに起因する可能性が高いと考えられる。特に、高乾燥密度試料中の陽イオンの拡散では、細孔拡散よりはモンモリロナイト外表面あるいは層間の拡散が支配的であることが強く示唆された。
神保 龍太郎*; 中村 和幸; Bandourko, V.*; 奥村 義和; 秋場 真人
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.724 - 728, 1998/00
被引用回数:8 パーセンタイル:57.28(Materials Science, Multidisciplinary)次世代核融合実験炉のダイバータにおけるスパッター条件を模擬する目的で、超低エネルギーイオン源(SLEIS)を用いて、200~800C(化学的スパッター域)における1次元、2次元及び3次元CFC材と等方性黒鉛材及びBC添加1次元CFC材の重水素イオンによるスパッター率の温度及び照射角度依存性を調べた。その結果、1~3次元CFC材は、等方性黒鉛と同様な温度依存性を示したが、BC添加CFC材は、これらよりやや低い値を示した。BC添加CFC材では、照射角度の増加とともにスパッター率が減少したが、1次元CFC材では、照射角度依存性は見られなかった。